時代の変化で衰えた産業、斜陽産業

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今回は時代の動きで経済力が弱くなった産業を幾つか紹介したいとおもいます。

印刷業界

印刷産業は、文字通り各種の印刷物を扱う産業です。新聞や雑誌、書籍、はがきなどのさまざまな種類の印刷物を、企画から設計、編集、製造に至るまで手がける業界となっています。この印刷産業も、現在は活気をなくした斜陽産業として認識されています。

印刷業界が斜陽を迎えているといわれるのには、ITやWEBの技術革新が大きく影響しています。従来印刷は、専門業者に任せるのが常識でしたが、現在ではデスクトップパソコンによるDTPの実現や、スマホ等の普及で情報媒体がWEBに移ったことなどから、業者の手を介する必要がなくなりつつあります。

1997年のピーク時には印刷出荷額が8兆9,286億円あったのに対し、2016年では、5兆2,752億円まで下がっています。

広告業界

広告産業とは、クライアントからの依頼を受け、さまざまなマーケティング活動を行う産業のことです。扱う媒体によっていくつかの種類に分かれますが、TVや新聞などの広告を手がける「マスメディア系」、電車や駅などの広告をメインとする「鉄道系」、また屋外広告やチラシといった、自社の得意分野を扱う「専門系」などがあります。

こうした広告業界もまた、斜陽産業に入りつつあるものの1つです。その理由は、印刷業界と同じく情報がWEBへ移行したことにあります。かつてのような、TVCMや看板といった大口の広告の需要が減り、代わりに安価なネット広告の需要が高まったことに原因があります。

広告業界のピークは2007年で、7兆191億円の市場がありました。しかし2015年では、一時より回復傾向にあるとは言え、6兆1,710億円にまで減少しています。

新聞業界

新聞業界もまた、斜陽産業の代表格として、名前が挙がる機会の多いものです。新聞はかつて、各世帯が定期的に購読するのが常識でしたが、現在ではそうした習慣はなくなりつつあります。
新聞の発行部数から見てみると、ピークは1997年の5376万5000部ですが、2018年では、3990万1576部にまで落ち込んでいます。2017年と比較しても、222万6613部の減少となっており、新聞離れには歯止めがかかる様子が見えません。

新聞業界がここまで落ち込んでいる理由には、さまざまなものが考えられますが、やはり情報をWEBから得ることが多くなったということが第一に挙げられるでしょう。わざわざ紙の新聞を買わずとも、ネット上で欲しい情報に触れられるようになったということが、大きく影響しています。

音楽業界

音楽業界は、さまざまな細かい分野にまたがる業界です。大まかなところでは、音楽を演奏するアーティストと、音楽ソフトの企画や制作、宣伝営業といったことを行うレコード会社、そしてアーティストが所属し、そのマネージメント等を務めるプロダクションなどがあります。

音楽業界はこれまで、主にCDを制作・販売することで収益を得ていましたが、こうした形態は、現在は斜陽産業となっています。
音楽CDの生産枚数は1998年がピークで、4億5,700万枚を誇っていました。しかし、2016年には1億5,900万枚となり、ピーク時の半分以下まで減少しています。これもやはり、音楽をデータのダウンロードや、定額制ストリーミングサービスなどで聴くようになった傾向が影響しています。

百貨店・デパート業界

百貨店やデパート業界もまた、斜陽産業と呼ばれるものの1つです。ある時期までは、地域の特別な場所としての地位を占めていた百貨店やデパートですが、現在ではそうした感覚は弱まりつつあります。わざわざデパートに出かけなくても、オンラインで好きな商品が買い物できたり、高品質で安い服が、ファストファッションなどで手に入るようになったためです。

百貨店の年間売上高のピークは1991年で、約9兆7130億円ありました。しかし、2016年の年間売上高は、5兆9780億円と、36年ぶりに6兆円を割りこむまで低下しています。

農業

日本の農業は、世界的に認められた高品質な農作物を多く持つ一方で、全体としては斜陽産業と呼ばれることが多くなっています。高齢化による離農や後継ぎ問題、食糧自給率の低さなど、数多くの問題を抱えています。
農産物の国内生産額は、米を中心として減少が続いており、農業総産出額は1984年の11兆7,171億円をピークとして、2016年は9兆2,025億円まで下がっています。

パチンコ・パチスロ業界

かつては隆盛を誇ったパチンコ・パチスロ業界も、今では斜陽産業と呼ばれるようになっています。

平成の始めには、遊戯人口3,000万人、売上高は30兆円を超えるほどあったものが、その後緩やかに下降線を辿り、2017年には遊戯人口900万人、売上高は20兆円を割り込むまで低下しています。特に遊戯人口の減少は著しく、ピーク時の1/3にまで落ち込んでいます。

パチンコ・パチスロ業界が低迷している理由には、次のようなものが考えられます。すなわち、パチンコ・パチスロ以外の娯楽が豊富になったこと、そして、射幸性(ギャンブル性)を抑えるために、法律や行政による規制が厳しくなったことなどです。

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