今回はフードシェアリングについてお話したいと思います。
フードシェアリングとは?
「フードシェアリング(サービス)」とは、「売れ残りなどを防ぎたい小売店・飲食店や生産者と、食べものを求める人や団体を、スマートフォンのアプリ等を通じてマッチングするサービス」という意味の言葉です。
お店や生産者が、そのままだと廃棄されそうな商品の情報を発信し、それを見たユーザーがアプリやECサイトを通じて購入するという仕組みになります。
このサービスの最大の特徴は、まだ飲食可能なのにもかかわらず、そのままだと廃棄される確率の高い調理品や食料を、安く提供・入手できる点にあります。食料が有効に行き渡るようにして、無駄な廃棄をなくすという、文字通り、「フード(食料)」を「シェアリング(共有)」するサービスになります。
2015年ごろから欧州を中心として広まり始めたサービスで、国や地域によってはすでにかなり浸透しているケースもあります。日本でも、コロナ禍などをきっかけに急成長を遂げつつあります。
フードシェアリングが注目されている理由
フードシェアリングは、上記のように近年国内外で高い注目を集めていますが、その背景にあるのが、「フードロス(食品ロス)」の問題です。
「フードロス」とは、文字通り「食品の損失」を意味する言葉で、まだ食べられるのに捨てられてしまう食料の発生を指します。このフードロスは、先進国で大量に発生している一方で、世界には十分な食べものが得られない飢餓状態にある国や地域が数多く存在しています。
人口増加や環境破壊が深刻化する中、この問題に対する世界的な危惧は高まり続けており、「SDGs」の目標においても、フードロスの減少がターゲットとして設定されています。「フードシェアリング」は、このような問題への取り組みの一環として登場したサービスということになります。
フードシェアリングの種類
飲食店・小売店から一般消費者へ
フードシェアリングの種類、まず1つ目は、飲食店や小売店と一般消費者をマッチングするタイプです。こちらの種類は、次のような仕組みとなっています。
まず、店側がメニューや商品の中で廃棄につながりそうなものをアプリ等に掲載、それを見たユーザーが、食べたい品を選んで購入の手続きをします。購入者は約束の時間に店舗へ赴き、そこで希望の商品を受け取るという流れです。支払方法については、事前決済のものと、現地で直接支払うものとがあります。
地域の生産者・食品メーカーから一般消費者へ
フードシェアリングの種類、2つ目に紹介するのは、地域の生産者、食品メーカーから一般消費者へ提供するタイプのものです。こちらの種類のサービスは、主にECサイトを通じて行われます。
具体的な仕組みとしては、まず生産者やメーカーなどの業者が、規格外の野菜や肉、賞味期限切れの近い食品などを、ECサイト上で販売します。一般消費者は、サイトを通じてそれらの品を購入、買った食べものが直接購入者の元へ送られるという流れです。
地域の生産者・食品メーカーから食品メーカー・飲食店へ
フードシェアリングの種類、3つ目は、地域の生産者・食品メーカーから、食品メーカー・飲食店へ提供するタイプのものです。こちらの種類もまた、ECサイトを使って行われるサービスになります。
上記の場合と同様に、規格外の野菜や肉、賞味期限の近い食品などを、業者がECサイト上で販売します。ただし、こちらの購入者は、消費者ではなく食品メーカーや飲食店で、購入した食べものは、メーカーの商品やお店のメニューの材料として使われることになります。
地域の生産者・食品メーカーからフードバンク等の団体へ
地域の生産者・食品メーカーからフードバンク等の団体へ提供するタイプです。
基本的な仕組みは前述のものと同様で、外装不備や規格外といった理由から売りづらくなった商品を、業者がフードバンクの運営団体へ提供するというサービスになります。日本ではフードバンクの活動自体あまり知られていないこともあり、上記のタイプと同様まだまだ珍しい種類ですが、最近はECサイトを通じた提供を行うサービスも登場しています。
フードシェアリングのメリット
フードロス削減による環境負荷の軽減
「フードロスの削減とそれによる環境負荷の軽減」です。
前述のように、現在フードロスは世界的に大きな課題として取り上げられることが多くなっていますが、この解決に取り組むことは、飢餓問題だけでなく、環境問題の解消にも大きなメリットをもたらします。廃棄された食品の処理には、膨大な量のエネルギーや資源が使われるからです。つまり、フードシェアリングで食べものの無駄を無くすことは、地球環境の負荷を取り除くことにつながると言えます。
食品・食材を安く入手できる
こちらは消費者側から見たメリットですが、「食品や食材を安く手に入れられる」という点も特徴です。
すでに何度も述べているように、フードシェアリングは廃棄を防ぐための取り組みです。そのままでは捨てられる食べものを、なるべく売り切ることが目的なので、値段は通常より安く設定されます。捨てれば利益はゼロですから、値下げしても売れればOKという考えです。つまり、消費者としてはいつもより安い値段でおいしい料理や食材が手に入れられるということで、これはかなり魅力的なメリットと言えるでしょう。
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