今回は前回と続きで日本に広がる所得格差の原因についてお話したいと思います
ひとり親世帯の増加
実は、日本におけるひとり親家庭の相対的貧困率は、先進国でも最悪の水準にあります。相対的貧困率とは、全国民を所得の多い順番に並べた際、真ん中に位置する人の半分未満しか所得がない人の割合を指します。つまり、相対的貧困率はその国の所得格差を示す割合ですが、日本のひとり親世帯の深刻な格差状況を示す証拠となっています。
日本のひとり親世帯の所得格差が激しい理由はいくつかありますが、1つには、母子家庭の母親が正規の仕事につきにくいという状況が挙げられます。多くの場合、女性は出産を機にそれまでの仕事を辞め、子育て中心の生活に入ります。しかしその後、離婚などで母子家庭となっても、子育てとの両立から正社員を諦める女性が少なくありません。こうした状況は子供の進学率にも影響し、ひとり親世帯の大学進学率は、23%ほどにとどまっています。
地域格差
都市部と地方の間に教育格差があることは、以前に行われた調査でも明らかでした。1961年実施の「全国小学校学力調査」では、「住宅市街地域」と「へき地」との間で、平均点に大きな乖離があることが判明しています。また、2008年に民間の教育機関が実施した、全国の小学5年生を対象とするテストにおいても、正答率は都市部になるにつれて高く、地方になるにつれて低いという結果でした。1961年当時よりも差は縮まってはいるものの、依然として、地域間で教育の格差が存在することが浮き彫りとなっています。
この結果からわかるのは、地方に住む子供は都市部の子供に比べ、ハイレベルな教育を受ける機会が相対的に少ないということです。前述のように、教育の程度は所得レベルと密接に関係していますから、この点で地域間の所得格差が生まれる原因となってしまいます。
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