今回は日本で所得格差が広がる原因についてお話したいと思います。
世帯年収の差から生まれる教育の格差
日本で所得格差が広がっていく原因として、富裕層と貧困層との教育の格差が挙げられます。
日本には義務教育制度があり、現在小・中学校までは、誰でも無償で教育が受けられるようになっています。しかし、よりレベルの高い教育を受けようとすると、決して少なくないお金が必要になってきます。
裕福な家庭であれば、そうした出費も可能なため、子供は幼いころから恵まれた教育環境に身を置くことができますが、貧困家庭の子供はそうしたわけにはいきません。
こうして高い教育を受けた裕福な家庭の子供は、その分高収入な仕事に就ける機会が増え、一方、教育のレベルが限られる貧困家庭の子供は、そうしたチャンスを失うことになります。
少子高齢化
2つ目は少子高齢化です。
現在我が国では、出生率の低下による少子化とともに、高齢者人口の増加が問題となっています。日本では60歳ごろから定年となる会社が主流ですが、言うまでもなく、定年後は年金が収入の大半となります。
つまり、年金に頼る高齢者は、必然的に低所得者となってしまうわけです。その一方で、一部には会社役員などに就任し、高齢でも高い収入を維持し続ける人もいます。こうしたことが、日本で格差が広がってしまう原因の1つになっています。
しかも、前述のようにこうした高齢者層はどんどん増加しており、今後も増え続ける見通しです。高齢化率は、65歳以上の人口が総人口に占める割合のことですが、2040年がそのピークになると言われています。このため、高齢化社会の進行と共に、ますます所得格差が広がっていくと思われます。
勤務先の企業規模
日本の所得格差の拡大には、働いている企業の規模も大きく関係しています。
中小企業庁が発表した、2016年版の「中小企業白書」によると、中小企業の正社員と大企業の正社員の給与額の差は、おおよそ8万円ほどであるとされています。この給与差は、実に20年間も埋められていません。1ヶ月に8万円の収入差が生まれるとなると、1年では大体100万円の差となります。これは、かなりの金額と言うことができるでしょう。
さらに生涯賃金に換算すると、より格差が明確になります。生涯の勤続年数を40年として計算した場合、8万円×40年では、3,840万円にも上ります。一生涯だと、実に4,000万円近い金額差が、企業規模の違いによって生まれる原因となってしまうわけです。4,000万円あれば、家やマンションを購入することも可能ですから、非常に大きい格差と言えるでしょう。
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