EUに加盟するデメリット

経済

今回は前回の続きです。前回はEUに加盟するメリットについてお話しました。今回はデメリットです。

地域の格差が大きい

ユーロの導入が、EU全体の経済を活性化したというメリットは、前述の通りです。しかし、通貨の統合によって、すべての国に利益がもたらされたわけではありません。

ユーロ相場の決定には、域内全体の経済状況が反映されます。一国の経済が好調でも、他の加盟国の経済が低迷すればユーロ安となり、結果として輸出依存度が高い国に追い風が吹くという構造があります。実際に輸出依存度の高いドイツのGDPは、ユーロ圏平均との差額(超過額)が、2017年には1999年の約1.5倍にまで拡大しています。
これに対し、フランスの超過額は99年から44%減少したほか、イタリアはマイナス額が15倍に膨らむなど、地域によって大きな格差が生じる結果となっています。

移民の受け入れ

移民の発生は以前からある問題ですが、近年はその深刻さが一層増しており、ヨーロッパは特にその問題に大きく直面しています。
これは中東での戦闘が劇化したことで、戦火を逃れようとした難民が次々に欧州を目指して移動してくるようになったためです。
2015年以降はこの動きが激しくなり、「難民危機」とまで呼ばれる事態に発展、EU各国は対応に頭を悩ませています。一部の国は移民を積極的に受け入れていますが、急激な増加によってさまざまな社会問題が起きているのが実情です。

EU加盟国で決まったことに従う必要がある

「欧州議会」は加盟国すべてから直接選挙で選ばれた議員で構成され、EUのほとんどの政策分野の法案を、「欧州理事会」と共同で決定する役割を担います。ただ、その決定にはEU各国が参加するものの、実際には大国の思惑が強く働いているのが実情です。その他の弱小国の意見は通りにくくなっていますし、決まったことに対しては、それが意に沿わない決定でも従わなくてはならないという側面があります。

国ごとの文化の違い

ヨーロッパと言っても、その範囲は非常に広く、域内にはさまざまな言語や文化があります。例えば隣りのドイツやフランスでも、話される言葉や、培ってきた文化は大きく異なります。もともとEUは、こうした違いから生じる衝突を超えるために作られましたが、未だにそうした差異を完全に克服できていないのが現状です。
国や地域ごとに考え方が異なることから、全体としての統一した見解を持ちづらく、特に近年はそうした傾向が目立ってきています。
ブレグジットの問題は、EU内でのそうした不協和音の表れと見ることができるでしょう。

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