EUに加盟するメリット

経済

今回はEUに加盟するメリット、デメリット

平和の実現

EU設立の背景には、第二次世界大戦が関わっています。

2度の大戦を経たヨーロッパは、大きく傷つきました。隣り合う国同士の激しい戦争は、互いの国力を大きく削ぎ、代わってアメリカやロシアなどの台頭を許すこととなります。
それ以前からも戦争が絶えなかったヨーロッパにとって、安定した関係性を築くことは長年の悲願でしたが、第二次大戦後にこの機運が大きく高まります。
その後いくつかの段階を経てEUが発足したことにより、その理想の実現に一歩近づきました。

パスポートなしで国を出入りできる

通常、人が国境を超えて移動する場合には、多くのチェックが必要になります。
例えばパスポートやビザの確認で、これは安全などの観点から、世界中ほとんどの国で必要とされています。

しかし、EU加盟国の多くでは、こうしたパスポートの提示などが求められません。
これは、「シェンゲン協定」という協定に基づいた権利になります。シェンゲン協定は、EU間のより自由な移動を目指して作られたもので、入国手続きが簡素化されているのが特徴です。
ただし、EU加盟国でもシェンゲン協定に加盟していない国(ルーマニアやブルガリアなど)があり、そこでは入国の際にパスポートやビザの提示などが必要となります。

共通通貨である

共通通貨である「ユーロ」が使用できるという点があります。

ユーロを使用することにより、国境を超えた決済などの手続きが簡単になり、加盟国間の経済の活性化につながります。

欧州単一通貨の構想は1960年代からありましたが、その背景には、ヨーロッパ諸国内でのヒト・モノ・金の流通をより活発化させたいという機運の高まりがありました。そうした流れを受け、1992年に締結されたマーストリヒト条約により、欧州単一通貨としてのユーロ導入が決定されます。1999年に決済用仮想通貨としてスタートしたユーロは、2002年1月から現金通貨として使われるようになりました。

科学や技術の発展

科学技術が現代社会で最も大きな重要性を持つ分野というのは、論をまたないところでしょう。科学の発展は、経済や軍事だけでなく、日常生活にまで大きな影響を及ぼします。
しかしながら、現在科学技術の研究で突出しているのはアメリカと中国であり、ヨーロッパの各国は、例えドイツやフランスであっても単独ではこれら大国に太刀打ちできないのが現状です。EUが設立されたのには、この面を強化しようという意図も含まれています。

実際に、EU設立以前から「欧州原子力共同体」や「CERN(欧州原子核研究機構)」のような共同プロジェクトがいくつも進められております。

軍事力強化

他国に対する防衛力をどれだけ高められるかは、ほとんどの国家において、古くからの最も大事な命題の1つでした。特にヨーロッパは、歴史的に戦争が絶え間なく続いていたこともあり、軍事力についての意識は非常に高いものがありました。
第二次大戦後はソ連が大きく台頭したことにより、その意識が東側諸国に向けられることになります。ヨーロッパはこれに対し、「NATO(北大西洋条約機構)」に加盟することで対抗してきましたが、これはアメリカの影響が非常に強いものでした。
しかし、アメリカとEUは必ずしも一枚岩ではないという現状もあり、EUで独自にヨーロッパを防衛しようという動きも生まれています。

経済発展

もともとEU設立の目的には、ヨーロッパ域内の経済を活性化させることが大きく掲げられていました。ユーロの導入はその施策の1つですが、もう1つ「関税の撤廃」というものも関係しています。
これは、EU圏内における輸出入には関税を課さないという制度です。
関税とは物が国境などを超える時に割り当てられる税金で、一般的に外国から輸入される貨物に対しては、これが課されるようになっています。それに対し、EUではこれを無くすことにより、ヨーロッパ全体の貿易を活性化しようとしました。

実際に、EU発足後隣国への貿易は大幅に増加し、近年加盟した国は、加盟前に比べてGDPが112%に伸びたという研究結果も出ています。

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