共産主義と社会主義の違いとは?

政治

今回は共産主義と社会主義の違いを紹介したいと思います。

共産主義とは?

「共産主義」とは、広義には「財産の私有を否定し、生産手段や生産物などすべての財産を共有することにより、貧富の差のない社会を実現しようとする思想・運動」を意味します。現在は特にマルクス主義思想による定義を指すのが一般的で、それによると、「共産主義=プロレタリア革命によって実現される人類史の発展の最終段階としての社会体制」であるとされます。

わかりやすく言えば、土地などのすべての財産は国民全員のもので、階級も存在せず、各人が能力に応じて働いた分の利益を公平に受け取れる社会の仕組みが、「共産主義」ということになります。個人による財産の所有を前提とする「資本主義」に対立する概念で、資本主義の限界を超える理想の社会システムとして考案されました。

社会主義とは?

「社会主義」とは、「生産手段を社会的に共有・管理することで平等な社会を実現しようとする思想や運動」という意味の言葉です。マルクス主義思想においては、「資本主義から共産主義へと続く第一段階としての社会体制」と定義されており、そこでは国家が個人に代わって資本を管理し、各人は能力に応じて働いた分の利益を受け取ることになります。やはり資本主義の問題を克服するためのシステムで、その社会に階級や個人所有は存在しません。

このように説明すると、「共産主義」と「社会主義」は全く同じに見えますが、「利益がどのように分配されるか」という点で違います。
「共産主義」では、富は完全に全員で共有され、そこから個人に分配されるのに対し、「社会主義」では国家が富の管理と分配の役割を担うようになっています。つまり、国家という存在が残っている点が、「社会主義」の特徴と言えます。
マルクス主義においては、「社会主義」が進化した先に、システムの最終形態としての「共産主義」があるとしています。

社会主義国一覧

中国

中国の正式な国名は、「中華人民共和国」になります。1949年10月1日に国家として成立して以来、中国共産党による事実上の一党支配が続いています。1970年代半ばまでは、農業中心の社会主義経済体制が取られていましたが、1978年から改革開放政策で市場原理が取り入れられたことで、「社会主義市場経済」へ移行しました。その結果経済は大幅な成長を遂げ、2010年には、世界2位の経済大国の地位にまで上昇しています。

ただ、国力の増大と共に国内の貧富の差は拡大し、諸外国とも軋轢を生じるなど、現在内外でさまざまな問題を抱えています。

キューバ

正式な国名は「キューバ共和国」で、カリブ海の大アンティル諸島に位置する国になります。1959年のキューバ革命により、ソビエト連邦の影響下にある社会主義共和制国家として誕生しました。1961年からは、キューバ共産党による一党独裁体制が続いています。

サトウキビ栽培を中心とする農業国ですが、ソ連崩壊以後の主な経済は、在外キューバ人の送金やロシア・中国などからの支援で支えられています。かつては貧富の差が少なく、治安も良かったものの、近年は経済的な苦境から犯罪が増加する傾向にあります。

ラオス

正式な国名は「ラオス人民民主共和国」で、東南アジアのインドネシア半島に位置しています。1975年にそれまでの王政が廃され、社会主義体制の国家として成立しました。政治では、ラオス人民革命党による一党独裁体制が敷かれています。

経済面は、1975年以降社会主義計画経済が実施されていましたが、1986年からは市場経済化が推し進められました。しかし、成果は芳しくなく、国連から世界最貧国の1国に指定されるなど苦境が続いています。

ベトナム

ベトナムは、東南アジアのインドネシア半島東部に位置する社会主義国家で、正式な国名を「ベトナム社会主義共和国」と言います。国土を資本主義陣営(南)と共産主義陣営(北)に分けたベトナム戦争を経て、1976年に統一国家として成立しました。政治体制は、ベトナム共産党による一党支配が続いています。

経済面では、1986年の「ドイモイ」と呼ばれる開放路線で自由化が進められた結果、現在に至るまで順調な成長が続いています。その一方で、社会主義体制でありながら、貧富の格差が拡大するという事態にも陥っています。

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